King Gnuの常田大希さんが主宰を務めるクリエイティブレーベル・PERIMETRONに所属するデジタルアーティストの神戸雄平さんとアートディレクターの森洸大さん。
お2人による講演会が、デザイン映像学部のメンバーに向けて行われました。
デザイン業界を志すメンバーにとっては憧れの存在のようなお2人にも、
ここに行き着くまでにはさまざまな道のりが。
今回はそんな原点についてや、現在のことなど貴重なお話を伺いました。
神戸さんはなんと教育系の4年制大学出身。
社会人になるまでは、デザインを志していたわけではなかったそうなのです。
神戸さん
「大学ではあまり特別なことは特になく…。既に道を決めている人たちはすごいなと思っていました。
でも、作品を見るのは好きでしたね。」
大学を卒業後は広告制作会社に入社。
ですがやはり違うと感じたそうで、転職を決意したそうです。
一方森さんはバンタンの卒業生で、特殊メイクを学んでいました。
卒展では学年でショーを制作し、終了後は達成感で号泣。
その後はアルバイトに勤しむ生活で、焦りなども感じたことがあったと、話されました。
別々の道を歩んで来られたお2人ですが、今は友達みたいな距離感で仕事をされているそう。
現在の仕事において大切にしていることをお伺いしました。
神戸さん
「とにかくかっこいいものを作ることが一番なんですけど。
自分の中に、これは絶対に越えなきゃいけないって壁があるんです。
自分の中でクオリティラインを設定していて、作っている時に
『まだ届いてないな』みたいな感覚がありますね。」
森さん
「その感覚、学生の頃はなかったよね。
バイト生活に対する焦燥感で、『やんなきゃダメだ』と思い始めました。
『これで飯食うんだ』って覚悟を決めてからは、その感覚を覚えるようになったと思います。」
神戸さん
「この感覚は早めに持ったほうがいいですね。
常に自分の中の一定ラインを越えようとする、その経験が自分を成長させると思うので。」
自分自身と常に向き合い続けているからこそ、
「辞めたい」と思う瞬間が訪れたこともあったそうです。
神戸さん
「(辞めたいと思ったことが)誰でも絶対、一度はあると思います。
ないっていうのはその程度しかやってないってことなんじゃないかな。
でももしかして、世の中には『もう楽しくて楽しくて仕方ない』と思っている人もいるのかな(笑)」
森さん
「自分の中の壁を越えた時って、辞めたくなるほどやってる時だと思うしね。
そんな『辞めたくなるほど突き詰める』を繰り返しながらも、諦めないのが大切ですよね。」
ここからはメンバーの質問にもお2人が答えてくださいました。
メンバー
「自分の作りたいものと、自分の技術が追いつかなくて挫折してしまいそうです。
お2人にもそんなことはありますか。」
森さん
「自分はまず、技術では人に勝てないと思ってます。一個突き詰めて勝てる世界ではないので。
技術で飛び抜けるより、個性で飛び抜けましょう。
誰もやってない組み合わせを探し続け、技術の不足を何でカバーするかを見つける。
意外と、思っていた通りのものを作ってみたけどなんか違うな、って時もありますよ(笑)」
神戸さん
「自分の考えているものが作れないもどかしさって、あるよね。
でも実はそれが、デザインの面白いところで、続けないといけない理由なんです。
そのもどかしさを解消するには、やっぱりやるしかないなと思います。」
講義の中で「自分じゃない何かになりたい」と話していた森さんに、メンバーからこんな質問がありました。
メンバー
「森さんの、作品を作る上での自分との向き合い方が知りたいです。
自分じゃない何かとは、どういうものでしょうか。」
森さん
「私は仮面を被った自分になることが好きですね。仮面をつけると、自分ではなくなると思うでしょう。
でも実は、仮面を被ることでしがらみが消えて、本来の自分になれるんです。
仮面をつけていると、変な動きをしても恥ずかしくないですよね。そんな感じです。
仮面をつけた自分は、取り繕って自分をカッコ良くした姿でもあり、
自分の本来の姿でもあると、私は考えています。」
講義の後は、お2人によるデモンストレーションが行われました。
お2人のパソコンの画面をスクリーンに投影して、実際にデザインを作っているところを見せていただきました。
実際に使っているソフトの解説や、制作のプロセスを間近で見れることは貴重な機会です。
メンバーたちも興味津々な様子で、スクリーンに目を凝らしました。
あっという間に2時間が経ち、講義は延長戦へ。
メンバーたちからの質問も止まず、有意義な時間となったことでしょう。